こんにちは
カウンセリングサービスのなかやしのぶです。
神戸メンタルサービスで、オンラインの心理学講座を担当しています。
今回は、その講座『プロセスという考え方』の一部をご紹介します。
プロセスとは?欲求は段階を経て成長する
プロセスとは、目標を達成するための過程や工程、方法のことです。
私たちは、いつだってプロセスの途中にいます。
仕事でも、恋愛でも、人との関わりも、意識していなくても何かに向けて進んでいます。
生まれてから死ぬまで、生きることそのものがプロセスだと言えるでしょう。
新しい何かに出会い、成長していく中で、失敗は避けられません。
でも、その失敗こそ、私たちを前に進ませてくれる大切なプロセスなのです。
では、なぜ私たちは、うまくいかない途中に、焦りや不安を感じてしまうのでしょうか?
そんな「プロセスの意味」について、考えてみましょう。
マズローの5段階欲求説|人の欲求はプロセスを辿る
『マズローの5段階欲求説(6段階とも言われている)』をご存知でしょうか?
人は常に欲求を持つ生き物ですが、その欲求には、段階があるのです。
一つの欲求が満たされると、次の欲求が生まれる。
逆に言えば、ある欲求が満たされなければ、その次の欲求は出てこない、そういうプロセスになっています。
そして、その欲求はピラミッド、ヒエラルキーで表すことができるのです(下の方ほど、満たされる人の割合が多く、上に行くほど満たしにくい)。
生理的欲求
私たちの一番初めの欲求は、生理的欲求です。
生きていくために最低限必要な欲求とも言われ、息をする、食べる、寝る、排泄する、こういうことが十分に満たされないと、二番目の欲求は出てきません。
安全欲求
二番目の欲求は、安全欲求です。
身の安全が保たれる、安心して暮らすことができる、これが満たされて、三番目の欲求が出てきます。
社会的欲求
三番目の欲求は、社会的欲求です。
生きること、身の安全が保障されて初めて、家族や友達、学校や会社など、社会に属したい欲求、人との関わり、繋がりを持ちたいという欲求が出てくるのです。
そして、その欲求が満たされると、四番目の欲求が出てきます。
承認欲求
四番目の欲求は、承認欲求です。
人と関わり、人との繋がりの中で、他人に認められたい、評価されたい、尊敬されたいという欲求が出てきます。
カウンセリングなどでは、承認欲求をあまりよく捉えていない方に出会うことが少なくないですが、人の持つ欲求の一つであり、人との関わりの中では、当たり前の欲求と言えるのです。
また、他人に認めてもらう、受け入れてもらう体験が満たされると、自分で自分を認められるように成長するとも言われています。
誰もが、まずは、他人に認めてもらう、受け入れてもらう体験が必要なのです。
そして、承認欲求が満たされ、自分で自分のことも認められるようになると、五番目の欲求が出てきます。
自己実現
五番目の欲求は、自己実現です。
自己実現とは、自分らしく、才能を活かしていきたい、理想の自分になりたいという欲求が現れます。
カウンセリングでは、四番目の承認欲求を満たす手伝いをしながら、この自己実現へと導いていくことを目指すことが多いでしょう。
また、実際には、承認欲求と自己実現を行き来しながら成長していくことも少なくありません。
自己超越
自己実現を、十分に満たせる人は多くはありませんが、自己実現を叶えた先には、自己超越という六番目の欲求があると言われています。
自己超越とは、自己実現した自分で、誰かのために生きたり、社会、世界の役に立ちたい、より大きなものと繋がりたいという欲求のことです。
プロセスの途中で不安になる理由
ではなぜ、私たちはプロセスの途中で不安や焦りを感じたり、失敗だと落ち込んでしまうのでしょうか?
それは、多くの場合、プロセスを知らない、プロセスを信じられない、もしくは、「今の自分が、プロセスのどこにいるのか」がわからなくなるからです。
プロセスを知ると、今やるべきことが見えてくる
例えば、「恋人に振られた」「仕事に行けなくなった」「占いやカウンセリングにお金を注ぎ込んでしまった」「借金ができた」「ご飯が食べられない」「眠れない状態が続きている」「それでも、彼と復縁したい」というような悩みを抱えている場合、欲求のプロセスという視点があるだけで、何を優先すべきかが見えてきます。
一瞬で悩みを解決できるわけではないですが、少しずつ心や状態を楽にしていくことができるでしょう。
この例で言えば、まず大切なのは、ご飯が食べられるようになること、眠れるようになること。つまり、生理的欲求を満たすことです。
その次に、経済的な安全を整え、安心できる暮らしを取り戻す。
それから、健全な人との繋がりを持てるようになっていく。
たとえ最終的に復縁を目指すにしても、自分自身がしっかりと安定すること、これがとても大事です。
そのため、生理的欲求や安全欲求が満たされているかどうかは、決して見逃すわけにはいかないのです。
また、親や恋人から虐待を受けている、どうしても許せない、そんな悩みも抱えているような場合もあります。その場合は、その親や恋人は、
プロセスのどの段階にいたのか、十分に食事は取れていたのか、経済的な苦労はなかったか、うまく社会と繋がれていなかったのではないか、という視点を持つことが、悩みを抱えたその人の許しや癒しのヒントになり得ます。
まずは、欲求の5段階を理解して、自分の抱えた悩みと欲求のステージが合っているのかを見つめてみてください。
すると、今やるべきことが見えてくるはずですし、焦りや不安は軽くなるのではないでしょうか。
プロセスを信頼するということ
プロセスを信頼するとは、悩んだり、苦しんだりしてはいけないということでも、何もしないで待っていればいいということではありません。
時には、物理的に、「ただ待つ」というようなこともあるかもしれませんが、自分が今どの段階にいるのかを理解し、そこにいる自分を否定しないことです。
他人と比べる必要は一切ありません。
自分の土台を、一つずつ積み上げていくことを、丁寧にやっていけばいいのです。
マズローの欲求説の視点で考えると、生理的欲求や安全欲求を十分に満たさなければ、心の土台はできないのです。
ご飯が食べられ、眠れる、安全な暮らしがあってこそ、そんな土台があってこそ、私たちは、人に優しくできるのです。
もし、人に優しくできない自分に出会った時には、まずは、自分に安心や安全を与えることが先なのだと気づいてください。
そしてそれは、決して自分を責めずに行動する必要があるということも、忘れないでください。
そうやって自分を整えていくこと、進んでいくことも、大切なプロセスなのです。

