こんにちは
カウンセリングサービスのなかやしのぶです。
私は20代のころ、洋服の販売員をしていました。
メンズとウィメンズのドレスもカジュアルも扱うお店で、私はウィメンズのドレス売り場の担当でした。
入社して数日、まだ店内のどこにどの商品があるかもわからないようなころのことです。
ある男性のお客様に声を掛けられて、ネクタイを選ぶお手伝いをしたことがあります。
しっかり丁寧に接客するスタイルのお店で、メンズ商品に詳しいスタッフは、他のお客様の接客中で手が空いていませんでした。
私は、わからないながらも、どのようなスーツに合わせるのか、どのようなネクタイを希望されているのかなど、お客様に質問をしました。
でもお客様は、険しい表情で私の声掛けにもあまり反応してくれません。
それでも、お客様を放っておくことも、離れることもできず、次から次へとネクタイを出してきて、スーツやシャツに合わせて、自分なりにネクタイの色や柄の美しさを言葉で伝えました。
お客様は、「うーん」と言うくらいで、どのネクタイをいいと思っているのか私にはさっぱりわかりませんでした。
お客様が無言でネクタイを選んでいる間、私は心の中でメンズスタッフの手が空くことを祈り、「接客を変わってくれ」と思っていました。
なんなら、お客様に、「ネクタイくらい、さっさと決めて」「買わなくていいから、早く私を開放して」と思っていました。
まだ入社したての私は、仕事に自信があるわけがなく、まして自分が着ることもない男性のスーツのことはチンプンカンプンです。
実は、男性のスーツにはスタイルがいくつかあって、それぞれ常識やマナーがあるんです。
そのためタブーもあるので、そもそも知識のない販売員が、提案するなんてありえないこと。
そんなことさえもまだ知らないでいた私は、心の中で感じている、不愛想なお客様へのこわさ、知識がないことの罪意識、困った状況への焦りや怒りを、ただただ笑顔を絶やさないでいることで隠すことで精一杯でした。
だけど結局、お客様はネクタイを買ってくれました。
私は、会計中も必要以上に笑顔を作って、最後に、ネクタイの入った紙袋を両手で手渡し、「ありがとうございました」と大きなはっきりとした声を出しました。
ぎこちない接客に、お客様が怒り出したりしないかと、最後まで不安で不安で仕方なくて、その不安を吹き飛ばすように、大きな声が出たのです。
でも、あんなに不愛想だったお客様は、紙袋を受け取ると、私の目を見てにっこりと笑顔で、「ありがとう」と言ってくれました。
私は、ずっとビクビクしていたので、お客様の笑顔にとても驚きました。
あの険しい表情も、反応の薄さも、私のせいじゃなかったんだと、お客様の笑顔で救われ、ほっとしました。
私の中の、怖いという思いは、お客様の笑顔で一気に吹き飛んでしまいました。
私は今でも、あの時のお客様の笑顔の重みを忘れずにいます。
その後、私はただ洋服が好きで始めた仕事でしたが、それ以上に接客が好きになりました。顧客と呼べるお客様に、たくさん出会うことになりました。
結婚や出産があり、その仕事はやめてしまいましたが、「人を笑顔にしたい」「笑顔が人を救う」という思いは、あの時からずっと変わらず、今では、介護やカウンセリングを仕事にしています。
もう20年以上前の出来事ですが、あのお客様の笑顔が私の人生に与えた影響はとても大きく、実際に私の人生を豊かにしてくれた出来事の一つであることに間違いありません。
だから、私はクライアントさんに、よく「笑顔でいてくださいね」「笑っていてくださいね」なんて言います。だって笑顔は怖れや不安を吹き飛ばしてしまいますから、人を喜ばせますから。
私も、夫や子どもたち、友だちの前でたくさん笑顔でいようと思います。
一生懸命さが、人の心を動かす
私たちは、人に喜んでもらいたくて、助けたくて何かをしますが、結果が伴わなければ意味がないと思いがちです。意味がなかったその失敗感で、自分を責め、自信を失ってしまうことがあります。
しかし、その何に精一杯の心を込めていたならば、その一生懸命さは相手だけでなく、周りの人の心を動かします。結果そのものよりも、精一杯の心が人の喜びや助けになるのです。
そして自分自身が、結果そのものよりも、自分の一生懸命さを受け入れることができれば、自分を救ったり、自信を育んだりできるのです。
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あなたに、たくさんの笑顔がむけられますように。
あなたの笑顔で、喜びの輪が広がりますように。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

